エピソード

企業再建という厳しい環境に、「希望が持てない」とリタイアした41歳。一方で、「希望が持てます。この年齢になって企業の再建という社会貢献に携わることができる。ありがたいです。」と言って下さった59歳。 全く同じ環境でありながら、真逆の言葉。面接の席上、不覚にも涙が溢れて仕方なかった。

人材ビジネス業界で働いてきて、心に残っているエピソードは?

運送会社での「経理・総務職の管理職候補」及び「業務管理職」の二件に紹介・成約したものの、入社数日の研修期間中に二名同時に終了して失敗に終わった。

企業様からは、期待して頂き研修に時間を取って頂いたにも拘らず、戦わずしてリタイヤとなってしまい、迷惑をお掛けしてしまった後を何とかしなければと思い巡る中、頭に浮かんだのが、以前弊社からの紹介で、建設機械リース会社に経理職として数年勤務して頂いた事のある59歳の男性。

 

今回の様に再建に携わる厳しい環境の企業・ポストには、十二分に現状の厳しさを理解し、キャリアも人生経験も豊富で本気で仕事を求めている高齢者を、正社員ではなくても、契約社員や嘱託社員として、再建のお手伝いとして採用して頂けないものか提案しようと考えた。

 

しばらくご無沙汰していたものの、現状確認のお電話をするとご本人と話が出来た。

年齢的にも、正社員の仕事は諦められて、近くの工業団地にて昼と夜と作業系のパートのお仕事を掛け持ちされているとの事。

すぐに今回の案件と状況、そして、これは私の思いつきで提案するので、先方がどう判断されるかはわからない旨お話をすると、こんなお話を頂けるだけありがたいと非常に喜んで下さり、夜勤明けにすぐに履歴書・職務経歴書を準備して下さった。

 

直感とタイミングは大事と思っているので、即スケジュール調整をして、先方にお詫びの後、提案アプローチをかけ書類を提示すると、面接をして頂ける事になり、何とか第一関門は突破。

 

一次面接は、その方の人柄もあり順調に進んだ。

その中で、厳しい経営状況やこれからの再建の話が出た時にその方が言った言葉が、「希望が持てます。この年齢になって、まさかもう一度企業の一員になって、再建と言うところで社会貢献が出来るなんて思ってもいませんでした。ありがたいです。」と言う言葉だった。

「希望が持てない」と言って、リタイヤした冒頭の41歳男性とは、全く同じ環境でありながら、真逆の言葉。私は、今までかなりの数、色々な企業の面接に同席させて頂いたが、初めて面接の席上で不覚にも涙が溢れて仕方なかった。

 

次は、筆記試験と二次面接だが、やはり数年間は工場勤務で、経理職にはブランクがあったので、弊社の持っている経理のテストをご自宅にFAXしたり、電話でのやり取りで何とか準備して頂き、無事にクリアされ、しかも、社長からその人柄を見込まれて、60歳直前であったが、契約でも嘱託社員でもなく、正社員としての採用となった。

 

また、数年間で会社が落ち着いたら、順調なグループ会社(その方の住居近く)に再雇用で異動してもらおうかとのお話までして頂き、ご本人も感謝しておられた。

そのエピソードで感じたこと、そのエピソードを通じて学んだことは何ですか?

失敗しても、次の方向性を考えて提案により成功出来たケース。

何とか企業のお役に立てないかと言う思いと、また、真剣に一生懸命に仕事を探す求職者のイメージが頭に浮かんだ、色々なタイミングと状況が上手くマッチした結果だった。

やはり、本気の人材は、年齢に拘らずレスポンスも行動も早い。

同じ環境・条件でありながら、求職者の意識・考え方次第では180度違う結果になるのだといい勉強になった。(一方は、夢が持てない。一方は、夢がある。)

 

採用決定の打ち合わせ後、ご本人がうれしそうに、奥様に「来月からまたサラリーマンに戻ります」とメールを打たれた後、企業近くの喫茶店でお話した時、「人生の神様だと思ってます。」と言って頂いた時は、本当にこの仕事をやって来て報われた瞬間でもあった。

中川利絵

人材協認定「人材紹介コンサルタント資格者」

東京の商社を皮切りに数社にて貿易・営業事務、接客業務に従事した後、北部九州地区大手人材会社で紹介実務、部門責任者等、幅広く人材サービス業務を経験。現在は行政での転職支援ナビゲーターとして就業中

   
更新日時:2015年07月

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