経営者インタビュー

「企業は、人と社会を豊かに、幸せにするもの」という 絶対唯一の
存在価値に拘わり、時代の課題をビジネスで解決していきたい。


更新日時:2017年02月

[ビースタイル企業紹介]

2002年創業。ライフステージの変化によって変わる女性の「はたらく」を叶えるため、家庭と両立できる「パートタイム型人材派遣サービス事業」、接客販売職からオフィスワークへの転職支援など、様々な働き方を叶えるサービスを提供。また自社の新卒採用では面接をやめ、独自の採用活動を展開。ビースタイルの企業理念『時代に合わせた価値を創造する』ことにチャレンジしている。

大学時代、人材派遣会社でのアルバイト営業で感じた、
「人材ビジネスって、単にモノを売る仕事じゃないんだ」

人材ビジネスとの最初の出会いは、大学の3年生の時。ある人材派遣会社でアルバイトで営業をやらせて貰ったのがきっかけです。初めて企業に飛び込み営業したんですが、企業の人事の責任者の方とお会いして、「人材の活用」がとても重要だと学生の自分に色々と話をしてくれたんです。それで、人材というのは、その会社が成長するために、非常に重要度の高い話なのだろうなと思ったのが原点ですね。人材ビジネスって、普通の物売りと違って、経営の中の重要資産のひとつを預かることなんだと感じたんですね。「なんていい仕事なんだ!」と思って、大学で「自分はこんな尊い仕事をやっているんだ!」と自慢してました。(笑) だから、お客さんともっと接点持ちたいと、自分達のサービスを提供したいと思って、1日200件とか飛び込みしてました。自分が学生に見えてお客さんから本質的な話をして貰えなかったら大変!と思い、少しでも「大人のビジネスマン」に見えるよう努力してしましたね。

自分のやっていることが何に繋がっているか分からなくなった時、
「価値を創りにいく仕事」と思えた人材ビジネスへ転職を決意。

就職は、縁あって金融関係に行くことになりました。最初就職した会社でやっていた仕事が、僕には価値を創りにいく仕事に思えなかった。学生時代バイトをしていた時には、「価値を創りにいくのが仕事」だと思えたのに、就職したら、自分がやっている行為が何に繋がっているか意味のないことのように思えてしまったんですよね。それで、あの頃非常にクリエイティブと思った創造的な仕事、本当に社会貢献性の高い価値ある仕事だと思った人材ビジネスに戻ろうと思って転職しました。

テンプスタッフ(※)に転職して、まず驚いたのが、女性ばかりの環境と先輩女性みんなが活き活きと元気に働いていたこと。また、人材ビジネスの体系的な教育を受けたのも初めてでした。こちらが提供する情報の質や精度が高ければ、お客さんもより深い課題感まで話してくれる。話されたことを持ち帰って僕自身も学習するから、僕自身の知見や能力が高まっていく。自分の課題認識をお客さんにぶつけて、さらに深いコミュニケーションができる。本当に楽しかったですね。

※敬称略

企業理念こそが、企業の普遍的な存在意義。
自分の行動が理念に繋がるように、その間を繋ぐ「階段の意味づけ」を考える。

テンプスタッフに入社して初めて、会社には理念というのがあるんだと、「企業理念」というものを認識したんですよ。企業にとって理念が普遍的な存在意義なんだと知りました。テンプスタッフでは、人々の成長や社会貢献を謳っていて、僕自身、初めはそこまで社会貢献を意識して仕事をすることはなかったんですけど、次第に自分が「日々やっていること」と「社会貢献」の意味づけをよく考えるようになりましたね。「日々やっていること」と「社会貢献」の間には、たくさんの階段ある。その「段」を考えるのが好きになり、意味づけを考えることが習慣化しました。

 

今、僕らも同じことを新卒に言っています。理念と発信と行動が一致しない会社には行くもんじゃない。もしその会社の理念が信じられるんだったら、自分の行動が理念に繋がるような「階段」を必死に意味づけするという思考を習慣化しなさいと。人生、自分を幸せにするのは、最終的には意味づけだし、どう生きていくのか、どう行動するのかも、人に対してどうあるべきかも、どう意味を持つかだよと。だからそれを習慣化しなさいとね。

主婦マーケットの拡大が、日本経済の発展に繋がる。
社会の課題をビジネスで解決し、時代に合わせた価値を提供していきたい。

今後人口減少してく中で代替労働力の中心となるのは、シニアでも、外国人でも、ロボットでもない。今様々な事情で働けない主婦の方々に働く現場に戻ってきて頂くことが日本の労働力の総量と品質を担保する最適な選択肢だと思っています。

日本はGDPの6割7割が個人消費に支えられており、内需主導の国であります。今日働けていない人が、全員明日から働くことができたら、大きな消費の起爆剤になり得ると思うんですよね。それが日本の経済を支えることになる。これこそが時代に合わせた価値を創造し、社会の課題を解決することだと。

 

だから僕達は起業しました。僕たちの活動を通じて、家庭や子育てとの両立を果たして働ける主婦を増やし、よりよい環境をつくっていく。そしてこの活動とこの循環を社会インフラにしたい。このビジネスをどうしてもやりたかったんです。

創業以来ずっと僕達は、我社の企業理念である「時代に合わせた価値を提供する」の実現を目指し、その時々、「社会が課題視することをビジネスで解決したい」、その想いで取り組んでいます。

リーマンショックで突き付けられた、経営者としての在り方。
これまでの自分を全否定するほど追いつめられたことで気づけたこと。

僕自身が全然経営者ではなかったと突きつけられたのはリーマンショックの時。劇的なコスト低減に迫られ、自分の中で忸怩たる思いでしたが、社内のパートタイムで働いてもらっていた彼女達を整理解雇せざるを得なかったんです。あんな悲しいことはこれまでの人生でなかった。

その時思いました。経営とは何たるものか、経営者として人を雇用することの心構え、必要な信念やスキルをちゃんと身に付けていれば、人の雇用を作る会社で、人の雇用を減らす状況にならずに済んだと。あれだけ、自分の従業員を守る、全員を幸せにするんだと言っておきながら、この始末。これまでの自分をすべてリセットして自分を追い込んでいましたね。自分に向き合う一番の時期だったんじゃないかなと思います。

あの経験から、人の残念を作る、関わる人を不幸にするような状況は今後一切つくらないと決意して、経営者として必要な資質のありとあらゆるものを学んでいく努力をしてきました。

経営者として僕ら自身が、視点を広げ、思考力を高め、価値観の裾野を広げる。
そしてその都度、メンバーに僕らが描く画を伝え続けていきたい。

それから、経営の全てをガラス張りにしました。経営状態まで全て開示しました。「みんなの財務」というのを始めたんですよ。うちのB/S、P/Lを見ながら、今の借り入れ金額はこのぐらい、キャッシュフロー表はこうですと、数字の意味を説明したりね。その辺りからメンバーとも飲みに行って、自分自身の責任だと思うからこそ、その時自分が思っていることをメンバーにどんどん話をしましたね。残ったメンバーも色々と葛藤はあったと思いますが、本当に良く頑張ってくれました。

経営者である僕や(共同経営者の)三原の思う枠組み以上のものはできないと思うんですね。だからこそ、僕らが学習して、自分達の視点・視野を広げたり、思考力を高め、価値観の裾野を広げていかないといけない。そしてその都度僕らはメンバーに、どんな画を描いているのか、何が大切なのか、自分達はどんな状態にあるのかなど、伝え続けていかないといけない。

人が人を幸せにすることが、人が生きていくための使命。
それは、僕のポリシーであり、プライド。

そもそも人間は何のために生きているのか?と問われたら、関わる人を幸せにするため。相互に人を幸せにすることが人が生きていくための使命であると考えています。

だから僕と三原は、うちの社員や関わる全ての方々に、「僕らは関わる人を幸せにすることを基軸に経営していくから、僕らに経営を委託してください」という約束事を示す。

そこに人が生きる意味も経営者が経営していく意味もあると思っています。

会社も経営者も、人と社会を豊かに、幸せにするための存在することは揺るぎないし、そうあるべきだと強く思っています。そこにブレた行動も発言もしないというのは、自分の中のポリシーだと思っているし、プライドだなと思っていますね。

色々な人との関わりの中で、色々な思いが生み出され、
自分の心が磨かれた。

僕45年生きてきて今やっと、経営者として人並のことが言えるようになったけれども、僕が自分で身につけたものなんて何もないと言い切れます。小さい頃から今まで、頭のいいヤツ・悪いヤツ、素行のいいヤツ・悪いヤツ、色々な先輩・後輩がいて、近くのおじさんやおばさんがいて、親戚がいて、その時々で色々な示唆を与えてくれた。いい示唆だったり悪い示唆だったり、正面の教師・反面の教師もあるしね。その時々に関わってくれた全ての方々の示唆が今の自分の価値観を形成している。関わった全ての方々から頂いた愛情が深い想いを生み出し、自分の心を磨いていく。今までの関わる人たちが今の自分の心を作ってくれて、支えてくれたから、いま多少なりとも自分の中で満足して生きることができていると思うのです。

 

 

人間って何だろう、幸せって何だろう、社会って何だろう、働くって何だろう。
もっと高い目線で、遠い目線で、その意味を考え続けて欲しい。

「働くこと」は非常に素晴らしいことです。

働く中で多くの人と関わり多様な価値観に触れ人として豊かになる、生きるための問題解決能力である「生き力」が身につく。当然ながら頂けるお金で自分自身の生活も向上する。自分のやった仕事で多くの人や社会が豊かに幸せになるって、本当に誇らしいことだと思う。その「働く」や「雇用」を生み出す仕事は、とても価値あることで、この業界にいること自体の喜びを味わって欲しい。こんな尊い仕事ってそうそうあるもんじゃない。

 

だから皆さんには、「働くことの意味」を噛み下いて欲しい。

 

いま取り組んでいる仕事がどれだけ人に及ぼす影響があるか、どれだけその人の人生を豊かにするのか、毎晩これを肴に飲んで欲しい。そして、自分も仕事をする一人の人間として考えた時に、仕事に関わりどれだけ成長できて、どれだけ幸せになったかも見つめ直して欲しい。もっと俯瞰的に、人間って何だろう、幸せって何だろう、社会って何だろう、働くって何だろうって、考えて欲しいしね。賢い皆さんなら絶対に答えを出せるはずなんですよ。

 

 

増村 一郎(マスムラ イチロウ)

株式会社ビースタイル 代表取締役社長

[プロフィール]

1971年 東京生まれ。大学卒業後、銀行に入社。その後大手人材派遣会社を経て、
2002年 株式会社ビースタイル設立。取締役副社長就任
2014年 同社の代表取締役就任
2016年 一般社団法人日本人材派遣協会理事就任

●座右の銘 「かかわるすべての人と、幸せに。」

●お勧めの一冊 「社長の仕事」(著書:浜口隆則)

同インタビューは、異なる視点でパートナーメディアにも掲載されています。
2016年12月1日発行 「月刊人材ビジネス
2017年2月28日発行 「PORTERS MAGAZINE