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【インタビュー】正規雇用/非正規雇用の「二元論」を脱し、新しい時代の多様な働き方を考えよう。


労働環境が大きな変化に直面する今、「働き方」を考えるためにすべきこととは?

労働人口の減少、少子高齢化、長時間労働など、国内の労働環境は大きな課題がのしかかっています。そうした現状を解決するために、2016年9月、政府は内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置。「働き方改革」への取り組みがスタートしました。

以前掲載した記事(今さら聞けない話〜パート1 数字の話〜)でも詳細を記したように、日本の人口ピラミッドはこの数十年で大きく変わり、ライフスタイルも目まぐるしく変化を続けています。子育て世代や介護世代など、多様な働き方が混在し、労働環境も激変を迎えている今、私たちは何を注意しながら「働き方」を考えればよいでしょうか?

求職者の多様な働き方に対する実態とニーズを把握すべく、一般社団法人人材サービス産業協議会(JHR)では2017年夏に調査を実施しました。そのデータを紐解きながら、JHR 事務局 部長・小椋将樹さんにお話を伺いました。

 

【写真】一般社団法人人材サービス産業協議会 事務局 部長 小椋 将樹

働き方のパターンが複雑化している

——JHRの調査報告書を拝見すると、雇用形態の呼称では「正社員」への希望が高く、集中しているように見受けられます(図1)。しかしながら、職種/勤務地/時間のいずれかに制約のある働き方を志向する求職者も多いことも事実のようです(図2)。データを見ると、雇用形態にとらわれず、働き方が多様化しているように見受けられますが、小椋さんはどのように感じていますか?

 

はい。データからも働き方の多様化の傾向が見られると思いますし、周囲を見渡してもそれを実感しています。知人の多くの家庭がほとんど共働きですし、夫婦どちらもが自分の仕事を持っているということが当たり前の世の中になってきています。

 

さらに、シングルなのか既婚なのか、子どもが一人なのか複数人なのか、そこに親の介護などが加わるか等、事情が絡み合うことにより、各個人・家庭によって働き方のパターンが複雑性を増してくる。——そんな状態になっていると感じていますね。

 

図01

 ▲図1:転職意向は、「正社員」傾向が非常に強い

図02 

▲図2 :譲歩できない雇用条件に関しては、「転居がない」といった制約のある働き方を志向する方も多い

 

——こうした状況のなか、求職者からは職種や勤務地、時間などに制約のある働き方が求められていると。

 

そうですね。例えば、派遣社員の方でも、特別なスキルや専門性を発揮して働く方もいらっしゃいますし、飲食店では地域勤務に限定したアルバイト・パートの店長さんが頑張っているという例もあります。働き手の家庭環境やさまざまな事情によって、最適な働き方が重視されているという傾向が顕著になっています。

 

——なるほど。

 

そのような背景のなか、これまでのように働くことを「正規雇用」「非正規雇用」という二元論で語ることが難しくなってきています。これからは、正規/非正規という雇用形態のあり方や定義はもちろん、職種・勤務地・時間などの制約に応じた新しい雇用の形をより真剣に議論し、考えていくことが求められています。

上記の中でも特に議論を進めていきたいのが、公的な定義付けがされていない「正社員」などの曖昧な呼称や雇用契約です。現状のままだとトラブル増加やマッチング効率の悪化につながると考えています。

また、多様な働き方を受け入れる企業側にも、こうした問題に関してアンテナを高く張っていてほしいと思います。

 

——「雇用」「働き方」を考える上で、例えば、どのようなことに注意していくことが必要ですか?

 

例えば「雇用契約書」です。今回の調査で雇用契約書の締結実態も調査したのですが、締結率はおよそ60〜70%。企業と雇用契約書を締結したものの、その内容についてきちんと目を通し、内容を把握している方はそう多くはいないのではないでしょうか。まずは、自身の雇用契約書に注目してもらうことで「働き方」への関心を高めてほしいと思います。

 

また、「雇用される側」だけではなく、「雇用する側」である企業にも、雇用契約書の内容について精査していく必要があります。急速に変化している時代では、企業競争力が落ちてしまいます。「多様な働き方」を受け入れる柔軟度のある企業は、それだけで採用優位性が高いと言えるでしょう。事実、そうした企業には優秀な人材が集まっています。

複雑な環境下だからこそ、継続して自分の考えを整理しよう。

——小椋さん自身、ご家庭には9歳と4歳のお子さまがいると伺いました。ご自身の経験からも「多様な働き方」の必要性を感じていますか?

 

私の両親は共働きで、授業参観といった学校のイベントに来てくれることは、まずありませんでした。そうした経験を踏まえ、私自身はなるべく子どもたちと接する時間を取るようにしていました。

特に、パーソルキャリア(株)にて人材紹介事業に携わっていた頃は、始業時間が午前11時だった時期があり、朝の時間を有効活用して子どもと触れ合う時間を積極的に取ったり、午前はお休みをとって子どもたちの学校のイベントに顔を出していましたね。リーマンショック後にはそうした余裕を持てる機会が少なくなってしまったのですが、家族との過ごす時間を大切にできるような働き方を実現していきたいと思います。

 

——そうした働き方を実現するために意識すべきことは何でしょう?

 

2つあるのではないかと思います。

まず一つ目は、「働くにあたって何を重視するのか」、「自分を取り巻く環境はどうなっているのか」、そして「将来のキャリアをどうしたいのか」など、自分の考えの整理を継続することです。考えの軸はいくつも存在する場合もあると思います。

今、求人情報はインターネット上に膨大に溢れています。検索性は高くなり便利になりましたが、自分の考えを整理していないと、自分にとって最適な情報を取りにいくことは難しいのではないかと思います。まずは、自分の考え・思いを整理してください。

 

——2つ目はなんでしょう?

 

どんな働き方があるのかを知ることです。例えば、友人知人と話すでもいいでしょうし、このサイト(人材シナプス)のように人材系メディア等から情報を得たるなど、日常的にアンテナを張ってほしいです。

先ほどもお話ししましたが、今の時代において「正規・非正規」の分類では難しいと思います。それぞれの多様な働き間をより自由に行き来できるようにすることが人材業に携わる人たちの役割ではないかと感じています。さまざまな働き方があることを知り、自分の考えに一番フィットした働き方を見つけてほしいと思います。

   
更新日時:2017年09月