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【座談会レポート<前編>】人材サービス業界10社が集結!「多様な働き方を考える」をテーマに、活発な議論を交わしました。


人材サービス業界内の10社で活躍中の代表者が集結し、座談会を開催

2017年11月、一般社団法人人材サービス産業協議会(JHR)は、「多様な働き方を考える」をメインテーマにした座談会を開催しました。座談会には、人材派遣会社や人材紹介会社、求人メディア運営会社(公益社団法人全国求人情報協会・一般社団法人日本人材派遣協会・一般社団法人日本生産技能労務協会・一般社団法人日本エンジニアリングアウトソーシング協会からの代表)など、人材業界内の10社で活躍中の代表者が集結。さまざまな立場・ポジションから、活発な議論が展開されました。今回、人材シナプスでは、前編・後編の2回に分けて座談会の模様をお伝えします。

 

 

座談会は、日本大学 准教授 安藤氏がファシリテートを務める「多様な働き方と企業成長について」と、パーソルキャリア株式会社 コーポレート本部長 木下氏がファシリテートを務める「雇用区分のあり方について」の2つに分かれ、実施されました。座談会の冒頭には、日本大学・安藤氏、パーソルキャリア・木下氏の両氏が登壇。それぞれのグループテーマについての状況説明を行いました。

働きやすい職場作りと納得感のある処遇が企業存続の鍵

最初に登壇したのは、日本大学 准教授の安藤氏(↑写真)です。安藤氏は、雇用労働分野について活動が多く、「労働政策審議会(労働条件分科会) 公益代表委員」や「参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員」も務めています。

 

安藤氏のお話しでは、そもそもなぜ「多様な働き方」が必要なのかという話からスタート。その背景には、2018年4月から始まる有期雇用者の「無期転換」やこれから更に深刻化する「人手不足」といった2つの要因があると説明。企業は、多様な働き方をする労働者について、どのように処遇するのかを考える必要があると述べました。

 

さらに、これからの雇用環境の変化については、「少子高齢化による人口減少」と「技術進歩による技術的失業」が作用すると指摘。人手不足の分野に仕事を失った人が移動できればよいものの、スキル・働き方・地域によるミスマッチが発生。大きな課題を残していると話しました。

 

また、働き方改革を議論していくためには、上記のような「人手不足対策」と「技術的失業対策」が必要になると強調。企業は、労働者の多様な働き方をサポートし、働きやすい職場と納得感のある処遇をできるかが企業存続の鍵になると語りました。そして、実際の仕事の現場ではどのように「多様な働き方」が進められているのかを、座談会を通して話したいと語りました。

正規-非正規という2限的な呼称問題を解消し、多様な働き方に対応する

日本大学 安藤氏に続いて登壇したのは、パーソルキャリア株式会社 コーポレート本部長 木下氏(↑写真)。木下氏は、「正規-非正規という2限的な呼称問題の解消することで、多様な働き方に対応。曖昧な雇用契約・慣行を是正し、健全な流動性のある労働市場を構築していきたい」と話しました。

 

また、JHRで実施した雇用形態に関する調査結果も説明。「雇用形態の呼称と個人の雇用契約期間、制約の認識は一様ではない」という結果が見えたものの、労働者が持つ「正社員に対するこだわり」が非常に強いと指摘。分かりやすい名称の導入などを通じ、正規-非正規という2限的な呼称問題の解消について、座談会を通して新たな知識を得たいと話しました。

「多様な働き方と企業成長について」グループ座談会

日本大学 安藤氏がファシリテートを務めるグループのテーマは、「多様な働き方と企業成長について」。人材業界内で活躍する以下の5名のメンバーが一堂に会して、同テーマについて議論を交えました。

▲株式会社メイテック 人事部 部長 土江 雅也 氏

▲株式会社ジェイエイシーリクルートメント WEB Div. デジタルマーケティングチーム マネージャー 後藤 久 氏

▲エン・ジャパン株式会社 派遣会社支援事業部 事業部長 沼山 祥史 氏

 

▲パーソルテクノロジースタッフ株式会社 人事部 組織・能力開発グループ マネージャー 柏谷 飛鳥 氏

 

▲ランスタッド株式会社 人事本部採用課 マネージャー 鈴木 俊矢 氏

異質な人材を統合し、新しい価値観を生むことが必要

座談会ではまず、安藤氏からの「有期雇用者の無期転換について各社で抱える問題点などは?」という投げかけからスタートしました。それに答えたのは、メイテックの土江氏。「弊社に在籍しているのは、無期雇用の技術者なので、キャリア形成のイメージがしやすい。しかし、一般事務派遣は、キャリア形成のイメージが付きにくく、無期転換も容易ではないように思う」と話しました。それに続いて、パーソルテクノロジースタッフ・柏谷氏は「土江さんのおっしゃる通り、一般派遣はキャリアをどう描点が難しいと感じています。無期転換するにあたって、業務・職種・給与をどう設定するのか。一般事務派遣だと、そこが設定しにくく課題が残っている」と問題点を語りました。

 

これらの意見に対して、安藤氏はいくつかの事例をピックアップ。「アデコでは、派遣社員を無期転換する際に、能力や意欲によって、積極的なキャリア形成を目指す社員と通常の社員に分けて処遇するそうです。さらに、ダスキンでは、有期雇用者は設定された年齢まで数回、正規雇用へとトライするチャンスがあります。また、同様に竹内製作所では、正規雇用に何度でもトライできます。」と紹介しました。

 

なお、安藤氏から「多様な働き方を促進する取り組み」についての投げかけに対しては、ジェイエイシーリクルートメント・後藤氏が自社で高い支持を得ている制度を紹介。「弊社には、子供を持つ社員に対して育児手当金を最大10万円まで支給する制度があります。プロフェッショナルのコンサルタントになるには継続が大切なので、この制度により出産や育児による仕事のブランクをあまり空けることなく働くことができます。」と話しました。 

 

 

また、企業成長について必要不可欠となる「人材採用」についての質問について、ランスタッドで採用のマネージャーを担う鈴木氏が回答。「今は売り手市場で、有期雇用や契約社員ではまず採用できず、無期雇用(正社員)でないと人が集まりません」と課題点を指摘しました。

一方、エン・ジャパン 沼山氏は、自社サイトで副業に関するアンケートを実施していること紹介。「副業に関しての認知も、実際に副業もしている人も増えています。しかしながら、余っている時間をお金に換えたいという声が多いです。副業を通じたキャリア形成はまだ難しい状態」と話しました。

 

座談会の締めくくりとして、パーソルテクノロジースタッフ・柏谷氏は「働き方改革を実現するためには、管理職の意識改革と育成が必要」と述べ、エン・ジャパン 沼山氏は「異質な人材を統合させて新しい価値を生むことが必要。そして、私たち自身が働くことが素晴らしいという仕事観を伝えていくことも必要だ」と語りました。

 

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12月に掲載する記事の<後編>では、「雇用区分のあり方について」をテーマにした座談会の模様をレポートします。日本で長く根付いてきた「正社員」や「契約社員・アルバイト・パート」といった、正規-非正規という2限的な呼称問題。人材業界関係者からどのような意見が出てきたのか。ぜひ、ご覧ください。

   
更新日時:2017年11月