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【座談会レポート<後編>】人材サービス業界10社が集結!「多様な働き方を考える」をテーマに、活発な議論を交わしました。


人材サービス業界内の10社で活躍中の代表者が集結し、座談会を開催

2017年11月、一般社団法人人材サービス産業協議会(JHR)は、「多様な働き方を考える」をメインテーマにした座談会を開催しました。座談会には、人材派遣会社や人材紹介会社、求人メディア運営会社(公益社団法人全国求人情報協会・一般社団法人日本人材派遣協会・一般社団法人日本生産技能労務協会・一般社団法人日本エンジニアリングアウトソーシング協会からの代表)など、人材業界内の10社で活躍中の代表者が集結。さまざまな立場・ポジションから、活発な議論が展開されました。人材シナプスでは、前編・後編の2回に分けて座談会の模様をレポートします。

 

11月に掲載した<前編>では、「多様な働き方と企業成長について」についての座談会を紹介。今回掲載する<後編>では「雇用区分のあり方について」の座談会の内容、そして雇用労働分野を専門にする日本大学 准教授 安藤氏による座談会の総括を紹介します。

「雇用区分のあり方」についてグループ座談会

パーソルキャリア株式会社 コーポレート本部長 木下氏がファシリテートを務めるグループのテーマは、「雇用区分のあり方について」。人材業界内で活躍する5名のメンバーが一堂に会して、同テーマについて議論を交えました。

 

JHRでは、正規-非正規という2限的な呼称問題を解消すべく、「雇用区分のあり方」について調査や検討を重ねてきました。その中心的な役割を担っているのが、座談会のファシリテーターであるパーソルキャリアの木下氏です。

▲パーソルキャリア株式会社 コーポレート本部長 木下学氏

 

これまで日本国内では、「正規(正社員)」・「非正規(契約社員・パート・アルバイト)」といった2限的な雇用区分が何十年にもわたって浸透しています。それが「正社員=安心・安定」という概念を生み出している部分もあり、多様な働き方が浸透していくためには妨げになっている要因の1つになっています。そこでJHRでは、これから多様な働き方を実現し、健全な流動性のある労働市場を構築していくためには、「契約期間の無期/有期」・「制約の無限定/限定(地域・時間・職種)」という雇用区分への転換が必要であると提唱しています。座談会では、パーソルキャリア・木下氏から、上記のような雇用区分の転換についての現状や考えを参加者に求めました。

 

ビースタイルの伊橋氏は、「総論として賛成です。求職者にとって“非正規”はネガティブなイメージを持たれます。名称や区分変更を行い、求職者の不安払拭につなげたい」と語りました。なお、ビースタイルは、時短派遣を手がける人材会社。営業を担当する伊橋氏は、「多様な働き方について、企業側の受け入れもここ最近は変わってきました。時短勤務でも優秀な人であれば歓迎したいというお客様も徐々に増えてきています」と話します。

▲株式会社ビースタイル 時短エグゼ事業部 統括マネージャー 伊橋 俊一 氏

 

また、アイデムの福島氏は、「雇用区分の転換は本質的ではありますが、これを推進するのは非常にエネルギーを費やすこと」と率直な感想を述べました。なお、福島氏はWebメデイア管理グループに在籍し、エンジニアと一緒に働く中で感じた彼らの志向性について言及しました。「日本では、正社員の安定志向が強いですが、一部のエンジニアのなかには、ずっと同じ環境で働きたくないという方もいます。環境を変えることで、スキルアップを図りたいからです」。

▲株式会社アイデム 東日本事業本部 webメディア管理グループ マネージャー 福島 裕介 氏

 

ワークポートの杉本氏は、海外の調査を引用しながら、このように話しました。「アイデム・福島さんのお話にあったように、日本はとても安定志向が強いです。それを証明するように、海外のとある調査では、日本人はリスクヘッジをすることが特徴的な国民性だそうです。だからといって長期雇用がイメージできる正社員雇用に安心するのは違うと思います。これからは大きな変化の社会。長期雇用こそが、リスクを伴う働き方だと感じます。そうした観点でも、雇用区分の転換は推進していくべきだと思います」。

▲株式会社ワークポート 杉本裕樹氏

 

続いて、口を開いたのはアルプス技研の齊藤氏。現在は経営企画部に在籍している齊藤氏ですが、キャリアのスタートは技術者だったと言います。そんな齊藤氏自身の体験談を交え、次のように話しました。「私は新卒でアルプス技研に入社し、当社の主要顧客の大手製造メーカー様において、派遣技術者として設計開発に従事していました。入社して少したったころ、クレジットカードを作ろうと思い、申込用紙を見ると、会社員、自営業といった項目のほか、雇用区分の項目に目を移すと”正社員”や”派遣社員”といった選択肢になっていました。自分自身がアルプス技研の正社員であることは分かっていたのですが、新卒であった当時は、どちらに○を付ければよいのか少し悩んだこともありました。現在の正規-非正規という2限的な雇用区分だと、こうしたことが助長される側面もあると思います。派遣はあくまで“働き方”です。新しい雇用区分を導入することで、多様な働き方の認知が進めば良いと考えています。」

▲株式会社アルプス技研  経営企画部 経営企画課 課長 齊藤 勝二郎 氏

 

また、製造系企業への人材派遣事業を手がける日総工産株式会社の田嶌氏は、正規-非正規における収入面に注目。「現在の雇用区分の場合、正社員→契約社員→アルバイト・パートという順に生涯収入の違いが出ます。しかし、今後は勤務地や勤務時間によって収入が異なってきます。人材会社として、そうした違いを企業側にも認知してもらうように働きかけが必要だと感じています。」

▲日総工産株式会社 経営企画部 マネージャー 田嶌公貴氏

 

座談会最後に、パーソルキャリア・木下氏から、新しい雇用区分の呼称のネーミングのアイデアを問われ、座談会参加者からは「海外にならって、横文字にしてみてはどうか?」「そもそもネーミング自体を付けないほうがいいのでは?」といった多様な意見が出てきました。

 

それを受け、木下氏は次のように語り、座談会を締めくくりました。「現在、多様な働き方が生まれています。新しい雇用区分を浸透させていくためにも、人材業界にいる私たちが、そうした様々な働き方を世の中に伝えていく必要があるでしょう」。

“働くこと”のルールや知識を、正確に学ぶことが必要

座談会終了後は、それぞれのグループでどんな内容が語られたのか代表者が共有。その後、日本大学・安藤氏から、座談会の総論が語られました。

 

「労働者の多くが、“働くこと”に対しての専門用語や最低限のルールを知らないと実感しています。これは、労働者を雇う側の企業も同じです。車やオートバイを運転するときに免許証が必要になるように、人を雇う・採用する際にも法やルールを正確に理解することが必要になります。人手不足という市場の中で、人材のマッチングはますます世の中から求められてきます。人材業界にいる方たちも、専門知識や法、ルールをきちんと理解しながら、最適な人材マッチングを図り、世の中を良くしてほしいと思います」。

   
更新日時:2017年12月